タマンサリ、城塞

朝、ガスン市場。あとで分かったが、ベチャのおっさんにぼったくられる。
インドネシア人は、鳥を飼うのがとても好きだそうだ。鳥かごがかわいい。
市場のなかは、鳥くさくて、暗く、面白いが、近代の衛生観念からすると、危険である。奥では、オランウータンも売っているとの噂を聞いた。
 タマンサリの方へ抜ける。住宅街。イスラムのようでもありアフリカのようでもある建築物に、幻惑される。廃墟の展望台。上には、女生徒がたむろしている。朝、学校に行く前のおしゃべりなのだろうか。お祈りを終えたあとの、休憩時間なのかもしれない。
 写メールすると、爆笑される。鳥のように、廃墟の屋上にたたずむ女の子たち。
cagar budaya/situs pesanggarahan tamansari
この廃墟展望台は、気に入った。ぐるぐるとタマンサリまで降りて行く。まさに迷宮である。面白くてたまらない。
 白、茶、オレンジ、緑、青…
開場前のタマンサリをガイドではないというおっさんに案内され、狭いところを抜け(このとき、小学生のころの抜け道を最も、想起する)壁のうえから、覗く。
 ポルトガルから襲撃された云々。
降りると、トラップのようにみやげ物屋へ連行される。古地図。歴代首相、「創造された伝統」の絵画群、…カンディンスキーの下手な真似の絵などもある。誰か買うひとがいるのだろうか。田中くんに似た店員のくりくりしたまなざしの愛嬌さに、負け、布絵葉書を買う。

 クラトン=王宮の南北に、広場があって、そこで、サッカーなどをやっている。モスキーからは、お祈りの唄が聞こえる。ここだけ見ると、ああイスラム社会と、思うが、あとで聞くと、バンバンさんなどは年に二回くらいしかモスクに行かないらしい。ので、毎日お祈りしているムスリムはよっぽど敬虔な方のようだ。

クダイクブンに戻り、近くのマガストア。マルボロ、7200ルピア。
 
 夕方、モスクに向かう。ベチャの運転手は文学を勉強したいが金がないという。チップ代わりにタバコをあげると、うまい、と言う。モスクに着いて、またチップ代わりにタバコをあげようとしたら、別のおっちゃんがやってきて、おれにもくれという。あげて、火をつけてやると、狂喜していた。

 モスクは、お祈りの時間ではなかった。子供たちが、爆竹で遊んでいる。

 歩く。ジャラン・ガムラン付近を、東へ入ったら、延々、迷う。というか、出口がない。延々、壁が続く。つまり城塞のようなものだ。
 家、水場、…城塞の東南の角に位置する監視台。通りは覗くことができるが、降りることができない。暗がりにカップルがいる。
 それから、また出口まで、延々、歩く。気が遠くなる。しかし夕暮れの空は、美しい。椰子の街路樹とあいまって、「熱帯」の風景である。
 ベチャのおじいさん。目がガラス玉のようだ。ちょいと値切るが、結局、チップで、言い値を払う。50円を40円に値切るのは、やはり。
 
 ヤンハジンさんの舞台。韓国伝統舞踊。大変、上手である。