エレベーター

シンドラー社のエレベーター事故に関する報道を見てると、たまったもんじゃないと思う。
ドアが開いたから入ると、奈落へ落下とか(これはシンドラー社内の施設での事件。もちろん落下したひとは死亡。)、乗ったら制御不能とか、あと同社製品のアメリカでの事故だったと思うが、乗ったら、最上階まで一気に上昇して、かごに乗ったひとは即死とか。
 エレベーターの恐怖ということでいえば、子供のときにみた「オーメン」の映像がしつこく残っている。あれはたしかエレベーターの箱を吊るしているチェーンが飛んで来て、身体がまっ二つにされるものだった。あの映像を見て以来、今日にいたるまで、エレーベーターに乗るときはいつもその映像を思い出してきた。職場先のひとつに、かごに乗ると内部構造が剥き出しになったエレベーターがあるのだが、天井のロープをいつも見てしまう。
 そんな幼少時に見た映像に傷つけられ、いまもそのせいで不安や恐怖をそこそこ感じていた想像が、今回の事件とおよび報道で、なんのことはない、私の想像は杞憂でもなんでもなく、現実に起こっている出来事で、これからも十分起き続けそうなことだと分かり、うんざりする。
  
日本エレベータ協会のサイトhttp://www.n-elekyo.or.jp/にはいろいろ情報がのっている。
駆動方式は主にロープ式で、それはつり合いおもりを使用した「トラクション式」と、巻胴(ドラム)にロープを巻き付ける「巻胴式」に分けられる。あとは「油圧式」というのがあって、驚いたのは、「リニアモーター式」というのと「水圧式」というのもあるらしい。とりわけ「リニアモーター式」だと、「水平・垂直・カーブなど、かごの移動方向も制約がなくなり、エレベーターの概念が根底から覆ることになります」とのこと。
 同サイトには、歴史篇もあり、古代のエレベーターを考案したアルキメデスから説かれているw
まあそれはともあれ、このサイトには、エスカレーターに関する事故の報告はあるのだが、エレベーターの事故に関する報告書がないようだが、どういうことなのだろう。

 シンドラー社の、捜査に協力していますの一点張りに対して、自前での点検・事故原因調査はしないのだろうかと思ったら、日本エレベータ協会のサイト内に、

 建築基準法の第8条には、エレベーター・エスカレーターの維持保全の義務を所有者、管理者または占有者にあると定めています。また第12条では、定期的な検査を受け、その結果を特定行政庁に報告することが義務づけられています。 ビルオーナーやマンション居住者が、エレベーターやエスカレーターの保守・点検に関心を持って頂く必要があります。

との記述があった。(ということは以下の話はシンドラー社個別の話ではなく、日本におけるエレベーター業界全体、そしてエレベーターを内蔵する建築物つまりほとんどのビル・建築物に関する話となる。)
 法の解釈はもっと複雑なのだろうが、この建築基準法第8条に依拠する限り、維持保存の義務は建物の所有者、管理者または占有者にあるのであり、エレベーター製造会社にはないと解釈することになるのだろう。
 しかし、シンドラー社は都からの都内設置場所の表を提示せよという要請に対して、拒否したというが、それもこの法解釈に依っているのだろうか。事故の責任は建物の所有者および居住者にのみ帰属するとでもいわんばかりだ。
 デパートとかだとどうなんだろう。利用者の責任とか?わけわかめ
なんか、「利用者の安全を第一に考えております!」といいながら、「万が一」の事故が起こったときには、「わたしどもには責任はございません。管理責任はそれぞれの建築物の権利者や利用者にあります」などというのだと想像すると、腹立つなあ。あ、これ「想像」ではなかった。現実に起こったことだった。
 まあなんにせよ世は法解釈で争われるわけだから、そうすると、建築物所有者に維持保全の義務責任があるのだから、ウチのは●○社製ですとかいう報告もすべきなのだろうし、また維持保全の義務を怠ったかどで責められるべきでもあるのだろう。
 私がいいたいのは、日本のマスコミのあいかわらずの単一バッシングで、シンドラー社をつるしあげるのもいいのだが、事故が起こったマンションなり役所なりも、責められるべきではないかということだ。