パゾリーニ「石油」
土肥秀行「パゾリーニが文学を問う:未完の遺作「石油」をめぐって」「言語文化」20号、明治学院大学言語文化研究所より。
パゾリーニ1964
新資本主義の均等化の波から生まれた言語
→「テクノロジーの言語」の可能性
「1960年代の<地獄篇>。…現代精神についてのアイロニカルなパンタグリュエル的な総論」
→中性的で直接的な言語の導入
1。神聖ミメーシス
2。テオレマ
3。石油
引用:「石油」冒頭より。
ドストエフスキー「悪霊」、ゴーゴリ、ダンテ、スウィフト、シュレーバー回想録、ストリンドベリ「地獄」、ロンギ、ロドスのアポロニオス「アルゴナウティカ」、フェレンツィ「タラサ」、ロック、ホッブズ、ソレルス、サド、ジョイス、
パウンド、プロップ、プラトン、アリストテレス、スターン、シクロフスキー。
→1972-1975書評タイトルとほぼ重なる。「記述の記述 Descrizioni di descrizioni」1979.
テーマ
父と息子の合一。
カルロ。
文字通り、二人に分裂。→分身。
善悪、主従、男女、正常と異常、
メタモルフォーズ:オヴィデイウス
「大量殺人の小説Il romanzo delle stragi」
「私は知っている。
私は知っている。政治的陰謀とよばれる者の名を。…
私は知っている。1969年12月12日のミラノの大量殺人の首謀者の名を。
私は知っている。1974年初頭のブレーシャとボローニャの大量殺人の首謀者の名を。」
「知っているが確証のない者」と「確証はあるが、名前を挙げない者」
「語るもの」と「語られねばならないもの」
パレーシア(すべてを語ること)
→フーコーのパレーシア
Il romanzo delle stragi→ジェノサイドについて語る小説。すなわち極限の現実について語る小説。
「私は知っている。なぜなら私は知識人であり、作家であるからだ。
あらゆる出来事を追求し、それについて書かれる一切を知り、
人々が知らずにいるかもしくは黙してしまう一切を想像しようとするからだ。」