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しかしここまで連日、舞台に関わってると、もうなにもできない状態になる。
お世話になってる方の舞台も観に行けないし、また同時に来週までに作る必要があるダンス作品でも、やまほど作業が残っていて、時間の合間を縫ってやっているのだが、どうしても膠着し、もろもろ滞る。しかも、取りかかれば取りかかるほど、作業が増える。それが楽しいといえば楽しいのだが、うまく問題を処理できない自分のふがいなさにあきれてしまう。しかもそのことは、別件で、現実化したし。いやなんとか処置は終わったが。
 舞台の世界に関わっていると、しかも裏方だから、肉体労働なわけで、またこれは歌舞伎座で働いていたときも思っていたことだが、どうにも本に飢えてしまう。本来はすくなくても毎日最低一時間でも読みたいのに、それがもう二週間も読めないままだと、…とここまで昨日書いていたが、今日はトーマス・マンの「マリオと魔術師」を途中まで読んだ。トーマス・マンはけっこう好きな作家だが、「ヴェニスに死す」に関しては、私はヴィスコンティの映画の方が優位にあると思う。といって、別にマンを貶めたいわけではない。
 そういえば同じように、歌舞伎座で働いていたときも本に飢え、ゲーテの「親和力」を休憩中に、歌舞伎座の裏口で読んでいたものだった。歌舞伎座の裏方のひとたちで休憩時間に読書をするひとは他に見当たらなかったから、もちろん浮いていたし、普通の「常識」を持ったひとなら、なんとなく遠慮して、そもそも読書など場所と身分にふさわしくないわけだから、そんなところで読書などしないものだ。しかし、「親和力」は滅法面白く、そんな人目などどうでもいいほど没入できた。日光が当たる場所だったから、その文庫は日に焼けた。

 本日26日までのセレノグラフィカ公演は、評判がいいので、ぜひご覧になるがいいと思います。
「それをすると」は、島尾敏雄の「死の棘」あるいは、マルグリット・デュラスの世界を思わせる、“狂気”を描いたダンス作品としては秀逸だと思います。
30分の作品「終わらない段落」は、結構すきな作品で、落語の「火炎太鼓」というテキストの使い方とダンスとの関係のさせかたもなかなかいい感じと思われます。こういう夏らしい爽快な感じを与えるダンスはありそうで以外とないのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。

 ようやくイタリアでの新作imageopera>>monobloc<<「SOGNO DI UNA COZA」の使用曲を決定して、制作者に送信できた。
本当は現地で選びたかったのだが。
 なにはともあれ、来週末にはイタリアに飛ぶ。
ダンスで行くことはもちろん嬉しいけれど、なかなかプレッシャーもあり、そんなに愉快な感じではない。
「いいなー」とよくいわれるけれど、やっぱ旅行で行くのが一番いいと思う。