ユベルマン「イメージ、それでもなお」

新刊。「イメージ」に関わる者としては大変興味深い。

『イメージ、それでもなお――アウシュヴィッツからもぎ取られた四枚の写真』イメージ、それでもなお アウシュヴィッツからもぎ取られた四枚の写真
ジョルジュ・ディディ=ユベルマン:著 橋本一径:訳 田中純:解説
税込3,990円 A5判上製336頁

イメージ論としてアウシュヴィッツを論じる前人未到の試み。「表象不可能性」の絶対化を批判し、不完全な資料の断片からでも歴史を再考する努力を怠るべきでないと解くポレミックな書。

同胞の屍体処理を強いられ、自らも死を免れえなかった特殊部隊、彼らゾンダーコマンドのメンバーが絶望的な状況から送り届けた、宛先すらも不確かな4枚のフィルムの切れ端。イメージの資料性を頑なに否定する者たちに抗し、そして何よりも、証言や写真がどこかへ届くはずだと信じた希望なき人々への応答=責任として、すべての抗して、不完全な断片から1944年夏の絶滅の歴史を再構築せんとする強靭な意志。イメージ人類学の果敢な実践。――アウシュヴィッツの地獄を知るためには自分で想像しなければならない。