カルメロ・ベーネ/年譜

ベーネの年表。当然ながら翻訳に不備あり。

カルメロ・ベーネCalmero Bene (1937-2002)
イタリアの俳優、劇作家、演出家、映画監督。

1937年、イタリアのプーリア州レッチェのカンピサレンティーナに生まれる。アカデミア・デラルテ・ドラマティカで学ぶ。
1959年、「カリギュラ」に出演。原作カミュ、共同演出A・ルッジェーロ。ローマ、Teatro delle Arti。
1960年、「Spettacolo concerto Majakovskij マヤコフスキー協奏演劇」、ボローニャ、Teatro alla Ribalta.
1961年、「カリギュラ」ニ版、ジェノヴァ
    「ジキルとハイド」、ジェノヴァ、Teatro la Borsa di Arlecchino.
    「Tre atti unici 三つの一幕」ジェノヴァ
    「グレゴリオ、800年のキャバレー」ローマ、Teatro Ridotto dell’Eliseo 。
    「ピノッキオ」ローマ、ラボラトリオ劇場。
    「ハムレット」ローマ、ラボラトリオ劇場。
1962年、「マヤコフスキー協奏演劇 二版」、ローマ、ラボラトリオ劇場。
    「マヤコフスキー協奏演劇 三版」、ローマ、ラボラトリオ劇場。
1963年、「さようなら、豚(「グレゴリオ、800年のキャバレー」二版)」ローマ、ラボラトリオ劇場。
    「キリスト'63」ローマ、ラボラトリオ。
    「エドアルドII世」原作マーロウ。ローマ。
    「ユビュ王」原作ジャリ。ローマ、Satiri劇場。
1964年、「サロメ」ローマ、Teatro delle Muse
    「ソーニービーンの話」原作R. Lerici。
    「マノン」原作プレヴォ。ローマ、アルレッキーノ劇場。
1966年、「ファウストまたはマルゲリータ」ローマ、Satiri劇場。
    「ピノッキオ」二版、ローマ、ツェントラーレ劇場。
    「バラと黒」原作 M. G. ルイス「修道士」。ローマ。
    「トルコの聖母」puratich。
     ベーネを震源としローマにてアンダーグラウンド演劇運動が起きる。ローマ派と呼ばれる。メメ・ペリーニ、ガイア・シエンツィア・デ・ベラルディニス、ペルラ・ペラガッロ、マガッジーニ・クリミナーリら。
1967年、「サロメ」ローマ、ローマ、Beat72劇場。
    「ハムレットまたは子の悲哀」ローマ、Beat72劇場。
    「サルヴァトレ・ジュリアノ、バラ色のバラの人生」原作 N. Massari。ローマ、Beat72劇場。
     パゾリーニの映画『アポロンの地獄』出演。クレオン役を演じる。
1968年、「Arden of Feversham」原作エリザベス朝時代、作者不詳。ローマ、カルメロ・ベーネ劇場。
    「マヤコフスキー協奏演劇 四版」ローマ、カルメロ・ベーネ劇場。
    「ドン・キホーテ」原作セルバンテス。ローマ、Teatro delle Arti。
    映画「エルミタージュ」Ermitage
    映画「トルコの聖マリア」Nostra signora dei Turchi 。出演ベーネ。音楽Cajkovskij、ドニゼッティムソルグスキー
    グノー「ファウスト」、プッチーニ「マノンレスコー」、ラフマニノフロッシーニストラヴィンスキーペトルーシュ 
    カ」、ヴェルディヴェネチア映画祭で、ベルトルッチの『パートナー』とともに衝撃を与える。審査員特別賞受賞。
1969年、映画「カプリッチ」出演ベーネ、A・ヴィアゼムスキー他。カンヌ映画祭出品。
1970年、映画「腹話術」
1971年、映画「ドン・ジョヴァンニ」音楽ビゼーカルメン」、ドニゼッティモーツァルトドン・ジョヴァンニ」、ムソルグスキー、プロコイエフ「アレクサンドル・ネフスキー」、ヴェルディ
1972年、映画「サロメ」 。音楽ブラームス「ドイツレクイエム」、シューベルトシベリウスシュトラウス
1973年、映画「マイナスハムレット」Un Amleto di meno 。原作ジュール・ラフォルグハムレットあるいは子の悲哀」。
   音楽ムソルグスキーロッシーニストラヴィンスキー「兵士の物語」、ワーグナータンホイザー」。
 「トルコの聖母」二版、ローマ、アルティ劇場。
1974年、「道化の晩餐」 フィレンツェ
    「ハムレットプラト、メタスタジオ劇場。
    「S.A.D.E.あるいはサレンティー憲兵楽団の放蕩と退廃」ミラノ、マンゾーニ劇場。
1975年、「ハムレット」ミラノ・マンゾーニ劇場。
1976年、「ファウスト-マーロウ-バーレスクプラト、メタスタジオ劇場。
    「ロミオとジュリエット」、プラート、メタスタジオ劇場。
     ブラジルの映画作家グラウベル・ローシャの映画「クラロClaro」出演。
1977年、「ロミオとジュリエット」、パリ、オペラ・コミーク。
     「S.A.D.E.」二版。パリ、オペラ・コミーク。
     「リチャードIII世」チェセーナ、ボンキ劇場。
1979年、「オセロ」ローマ、Teatro Quirino。
    「マンフレッド」原作バイロン、音楽シューマン。ミラノ、Teatro alla Scala
    映画版「オセロ」も作り始める(完成は2002年)
1980年、「マヤコフスキー協奏演劇(マヤコフスキー、ブローク、エセーニン、パステルナーク)五版」ペルージャ、モルラッキ劇場。
    「ヒュペーリオン」原作ヘルダーリン、ブルーノ・マデルナによるオペラ。ローマ、Auditorium di Via della Conciliazione。
1981年、「神曲 “ダンテ朗唱”」、ボローニャ
    「ダンテ朗唱とエドアルドを演ずるエドアルド」ローマ。
    「ピノッキオ」ピサ、ヴェルディ劇場。
1982年、「オルフェウスの歌、ディノ・カンパーナの詩と音楽」ミラノ、Palazzo dello Sport。
1983年、「マクベス」ミラノ、リリコ劇場。
    「エグモント(ゲーテの肖像)」。音楽ベートーヴェン。ローマ、Accademia di S. Cecilia,
    「…私は見る-… Mi presero gli occhi…」 F. ヘルダーリンと レオパルディによる。トリノコロッセオ劇場。
1984年、「アレッサンドロ・マンゾーニのアデルキ」L'Adelchi de Alessandro Manzoni」ミラノ、リリコ劇場。
1985年、「オセロ」二版、ピサ、ヴェルディ劇場。
1986年 「ロレンザッチョ」原作ミュッセ。フィレンツェ、Ridotto del Teatro Comunale。
1987年、「カンティ」原作レオパルディ。レオパルディの生地であるマチェラータのレカナーティ。
    「ハムレットのためのオムレット Hommelette for Hamlet 」ジュール・ラフォルグオペレッタ草稿による。
     バーリ、ピッキーニ劇場。
1989年、「道化の晩餐」二版、ミラノ、カルカノ劇場。
    「ペンテジレーア 俳優機械-機械の俳優Pentesilea la macchina attoriale-Attorialit? della macchina」
     原作スタティウス、クライスト、ホメロス。ミラノ、Castello Sforzesco。
1990年、「ペンテジレーア」、ローマ、オリンピコ劇場。
1994年、「ハムレット組曲」原作ジュール・ラフォルグヴェローナシェイクスピア演劇祭。
    「オルフェウスの歌、ディノ・カンパーナの詩と音楽」、オスティア・アンティカ、ロマノ劇場。
1996年、「マクベス:恐怖組曲アルトー生誕百年記念。音楽ヴェルディ。ローマ、アルジェンティーナ劇場。
1997 年、「マンゾーニのアデルキ」二版、アントニオ・ストリアーノのためのコンチェルト形式の演劇。ローマ。
   「カンティの声:レオパルディ、コンチェルト形式の演劇」、ローマ、オリンピコ劇場。
1998年、「ピノッキオ」ローマ、Teatro dell’Angelo。
1999年、「ガブリエル ダヌンツィオ、俳優によるコンチェルト」詩編「イオリオの娘」,ローマ、Teatro dell’Angelo。
2000年, 「アキレスの弱さのなかで、トロイアシロッコの不可能組曲」原作スタティウス、クライスト、ホメロス
      ローマ、アルジェンティーナ劇場。
2001年、「ダンテ朗唱 Lectura Dantis」オトラント、Fossato del Castello。
2002年5月、逝去。


「テアトロ・ディ・ソットラツィオーネ」と呼ばれるベーネの方法は、オリジナルテキストを削除・抜き取ることで、換骨奪胎する。
ベーネはディドロブレヒト、ワイルド、アルトーカフカマヤコフスキー、レオパルディ、バスター・キートンパゾリーニブレッソン、タチなどについてよく語ってた。
2002年ベーネが亡くなったとき、この異端児の死に胸をなで下ろしたものも多かったという。

「わたしはどこにも到着しないだろう。わたしはどこにも到着したくない。終点などは存在しない。だれかが到着する地点には興味がない。ひとは狂気にだって到着することができる。そんなことがなんの意味があるのだろうか。」カルメロ・ベーネ

参考文献
http://www.fondazionecarmelobene.it/
http://it.wikipedia.org/wiki/Carmelo_Bene
ジル・ドゥルーズ「マイナス宣言」in「重合」法政大学出版局
ジル・ドゥルーズ「マンフレッド、なみはずれた革新」in「狂人の二つの体制」河出書房新社
http://www.sensesofcinema.com/contents/02/20/bene.html
田之倉稔「マイナー・ドラマトゥルギー」『現代思想』1986,7月「イタリアからのメッセージ」特集号
※この報告文によればクロソウスキーによるベーネ論もあるらしい。
他、ウェブ上でのページも参照しています。