マキノと四国と
先月は使える時間の半分以上をマキノ雅弘の映画観賞に使った、ような気がする。
マキノ映画はただひたすらすばらしく、「映画的映画」とはまさにこれだと思わせるものだった。
「次郎長三国志」が一刻もはやくDVD化されるのを待つ。
いちいち記憶に残った細部についても書きたいところだが、ひとつだけいうと、「殴込甲州路」での、饅頭笠がポンポン飛んでいく映像にはもうほとんど涙。なんの涙なのかはよく分からない。「痛快さ」なのか。
そもそも、饅頭笠かぶった次郎長一家の行進姿だけで、「忍者武芸帳」の「しめじ」を思わせ、それだけで吹き出したくなるほど愉快だったのだから、そのしめじが飛ぶのだから、たまらない。
だから、「おかし涙」なのだろう。「おかし涙」といえば、「パンツの穴」での円盤にもしみじみと流さざるをえなかった。
許婚をすてて次郎長一家に入った豚松が死に際に「親分、大好きだよう」というと、次郎長親分「豚松、俺もお前が大好きだよう」といい、豚松「うれしいよう」という掛け合いといい、次郎長を演ずる小堀明男をはじめとするたたずまいというかなんというか。
それで、森の石松が映画のなかでこんぴらさんに代参するのだが、そのこんぴらさんに偶々、旅行で行くことになった。これもまあすごい偶然というかなんというか。
京都のHのところに寄ってから四国に入る。岡山は雪で、こんぴらさんも雪だった。
後でホテルのひとに聞くと、何年に一回ですよ、とのこと。
こんぴらさんについても書き出すと限がない。
書院で応挙、若冲を堪能。いやはや商店街のコロッケもうまかった。
それから松山に移動。道後温泉。
翌日、内子と、大江健三郎の生地である大瀬村にも、行く。
私は映画「ALWAYS」は嫌いなので、それとかぶるのが厭ではあるが、この内子のノスタルジアはすごい。とくに、つぶれかかった元映画館はなんかすごいものを見た感じがあった。
蠟燭製造で財をなした古民家もすごし。
車で10分というので、大瀬村。森がとても美しい。
本当に一瞬だけ見た。最後に大瀬中学校に行って、タクシー運転手の仲介もあり、なんと校内を案内してもらった。ああ。
風景がすごく、向かいの山に霧が覆っていくのを見ながら、これまたやばいものを見たという感じになる。
帰り際、大江氏の甥の方と駅で一緒になり、いろいろ話を聞いた。
翌日は松山城、東雲書店をはじめとする古書店回り。いい買い物ができた。
佐世保に戻ってからは、仕事&石森章太郎「日本の歴史」。半分を読んだ。
隠居岳(かくいだけ)にはじめて行く。城をここに建てたいと思った。