「悪いこと」:ネグリ来日中止に関する抗議声明

抗議声明が出ました。私見だと弁護士の協力もあった方がよかったような気もするのだが、それはなぜかというに、今回の法務省・外務省のわけわかめの「要請=措置」は、「国益に反する」がゆえ、担当者は損害賠償する必要があるとすら思われるからだ。
テレビ見てないが、テレビ報道はされないものか。
 まあ、ネグリネグリジェなら知ってるけど、ってオヤジギャグをどなたかがいっていたが、そんなのはどうでもよくて、法務大臣の友人の友人がアルカイダだから、問題なんですよ、ということでもやはりなく(いや問題だが)、やはり、日本社会の重要な構成要素である官僚制度において、何の緩衝材(それをあえて文化といいたい)もなく、ただひたすら「可能性」のみでできあがった「可能世界」だけが、進行していっているのがやばいという。ここでいう「可能性」とは否定的な可能性ないし否定性のことであり、「不安材料」「懸念」「危機・リスク」「厄災」などといった、つまり簡単にいえば「悪いこと」のことだ。つまり、「悪いこと」ばっかり想定しすぎるあまり、現実の社会がもつ肯定性といったものを信じられなくするのだろうと。
 つまり、ネグリが来て、ちょっと話題になったところで、日本国家が危機に陥るとか、テロリストが増えるとかいったことは、私などにはほとんど考えられないのだが。つか、あるわけないでしょ。そんな甘いもんじゃないしね。革命運動をなめすぎている。ま、なめられる革命運動がこれまでの新左翼および旧左翼の甘ったれ共依存。それで思い出したが、共産党社民党も、チベットに関する声明は出したか?いや今回に関してはネット右翼を見なおした。まっとうな批判だ。サヨクはなぜ沈黙を守るか。なぜ中国を批判できないか。
それはつまり、考えていないのである。無関心、それ以外に沈黙の理由はない。

 私自身はいまや中国文化のファンなので、その意味ではもちろん親中派となるのかもしれないが、すでにのべたような現在の中国政府の政策には許しがたいものがある。と同時に、もはやそんな強硬姿勢(内外に対して)を貫ぬかずとも、大丈夫なように思われるのだが。日本もそうだが、中国もどことなく自信がないのかと思う。これは国家の自我に関して。両国ともシャキッと毅然とすれば、むろん対話も大人の対話で、東アジアの環境をうまく作っていけると思うのだが。そのための前提的な基盤はもう揃っていると思う。あとは自分らの自我の問題ではないかと。
 
 まあ、私はずっと官僚制批判しているけれど、むかし都庁でふた月ほど働いていたことがあった。そうしたら、公務員のみなさんはたしかにさぼってもいたのだが、やはりよく働いてもいた。つまり、残業していた。
 さてこの残業問題だが、自分が働く場合でもこの問題は切実な問題ではあるが、なんかひどく時間を浪費していると、ずうっと前から思っている。むろん業務によって事態は違うのだろうし、余暇を制度的に強制しても、またよく分らないことになりそうなのもたしかなのだが、時間が貨幣であると考える必要がある。つまり、いろんな方策によって、時間投資が合理化され短縮できれば、いいと思うのだが。
 しかしこれもまた、時間が短縮されると、空いた時間でべろべろに酔っぱらうだけみたいなことにも、当然なりそうだ。
 
 経済というとき、むろんそれは社会的行為の集まりなのだが、どこでお金が回っているかが、つまりどこでひとはお金を使っているかが問題となる。
 こうなると、たとえば、ホストクラブの過剰な金回りなども、それ自体を否定したいわけでは毛頭ないのだが、もっと他の文化領域に回らないかと思う。
 ここはとても深い話で、橋本治さんなどが、もっとうまく語っていそうであるが(「乱世を生きる 市場原理は嘘かもしれない」での分析はすばらしかった)、
重要なのは、お金をストックでなくフローさせることだろう。とりあえずは。
 金を持ってるものが使うのを惜しみ、ためるばかりになると、社会にお金が回らなくなり、社会はますます閉塞していく。
 「金は天下の回りもの」とは、経済の本質のひとつを一気に示していてすばらしいが、回らないことには、つまり運動がないことには、社会はどんどん潰れていく。
 こうした経済という巨大な機械に円滑油を差していくのが、政府・政策の役割のひとつなのだが、どうもちょっとね。
 また、できるだけ多くのひと、究極からいえば、すべてのひとが、満足のいく生活を送るためには、ときに倫理的な政策をとることも必要で、それは「公正性」という価値観念に寄ることになろうが、それも円滑油として、ということだ。
 基本は、社会の内部運動が健全に働かないといけない。

しかるに、ってまた反復ばっかしだが、残業など次の日に回して、ゆっくり大局を考えるといかがかと思うのだ。残業するくらいなら、自宅でゲーム理論毎日ドリル。

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