チェルフィッチュ

チェルフィッシュを見た。いや、チェルフィッチュだった。いい。ニブロールと比べても、くさみがない。おそらくは保坂和志を経由したベケットアフターマスで、乾燥しているのがとくにいい。あの台本はふつうに出版されるか、あるいは小説化したら、いいんじゃないか。ま、、とはいっても、間とかの時間的処理、照明、身振り、立ち位置などの物質的空間性は、書記すると、再現はむろん不可能だが、まあ描写はむずかしいか。いずれにせよ予想をはるかに上回るほどではないにしても、なるほど批評家が騒ぐのも理解できる。ぼくと同じ年らしいが、それにしても、全く違うね。イマージュオペラとは。15年間、いわゆる(?)当世風を否定しつづけてきたぼくとの距離。うーん、なんにしても、ぼくは生まれてくる時間を間違えたんだな。別に反省しないけど。
 上演中、いろんなことを考えたが、いまは忘れてしまった。ああ、批判するとすれば様式主義か。あの様式は、様式化を意識しないとできないものだ。そしてそれはとりあえずいいのだが、これからどうするか。
M君の話しだと、演出の岡田さんは平田オリザで演劇をはじめたらしい。となると、また「国語」だ。一観客としてはあの疲労感を徹底して追求して、「国語」ではなく、ベケットまでダイレクトに飛んで行ってほしいと思う。