「油田」リハーサル

kairiw2005-01-28

イマージュオペラ>>コントラーアタック<<「油田」、リハーサル、開始。
今回はそれなりに準備していたというか、いままでの、ハイナー・ミュラー「トラクター」を素材にした「トラクトアTRAKTOR/トロープス」

や、デュラスの「愛」を素材にした「死の病い、居留地にて」での作業と、その反省のおかげで、早い!まあ、初回だから、稽古は濃密にはなりがちではあるのだけど。しかし、なぜ初回の稽古は濃密なのか。アイデアをそれなりに準備するからか、当たり前だなー。
 それにしてもsさんにある振付けというか、動きをやってもらったのだが、泣きそうなまでに感動してしまった。パゾリーニのことを想って。
 別にパゾリーニ信者であるとは自分のことを思ってないし、またその資格もないのだけど、なんかな、打たれる。打ち震えてしまう。好きなんだろうな、パゾリーニのこと。多分、一番。恋愛か?うーん。敬愛している作家とか思想家はほかにいるし、「敬愛」ということでいえば、パゾリーニは一番ではない。でも親近性というか、自分に呼び込むことのできるというか、受け入れるというか、その点においては、比類なき存在である。そうか、ゲストー客か?歓待神ゼウス?
 
 打ち震えながら、アイデアを確認して、主題(?)あるいはイマージュを、粘土のようにいじくっていく。ああ、楽しい。面白いっす!!共同作業の醍醐味とはこのことで、これがあるから、舞台をやるうえでのいやなことも、吹き飛んでしまう。
 
 洗足池の古本屋で、バイロン「カイン」
カイン (岩波文庫)

カイン (岩波文庫)

          ジジェク「操り人形と小人」
操り人形と小人―キリスト教の倒錯的な核

操り人形と小人―キリスト教の倒錯的な核

安い。
          丹生谷貴志「女と男と帝国」

 
 丹生谷さんについては、実はこの本をはじめて購入することになる。それは、なによりもあの「直接性の弁証法」が収められていたから。当時、読んで、ヘルダーリンについてのしけた知識が吹き飛んだ、というか、衝撃を受けた。あの衝撃は、「体験」としてはやはり重要で、その後、いまにいたるまで、振り返れば、ずっと引っ張られていた。電車のなかで読み始め、なんだー、全部、書いてあるじゃん、と思ってしまう。
 レトリックが過剰なときは、時々ついていけなくなるとはいえ、この速度感は、やっぱりすごい。吉増剛増さんと共通するような、速度感。こういう、詩人哲学者、考えてみれば、丹生谷さん以前には、日本にはいなかったんじゃないか?小林秀雄は別の明晰性だし、花田清輝は、はやいのだが、「、」が気になる(笑)。
 セリーヌ由来の「…」トロワポワンは、ソレルスも多用し、ぶーぶー言われているようだが、まあ、省略をおそれず、結論いそぐのも、やはりアリだ。
 薩摩焼酎「海童」。うまい。ぽわぽわしてきた。
 丹生谷さんのおかげで、いろいろ短縮できる。p73の「どうせいつか禿げるのになぜ髪を伸ばすのか?」という「愚劣な教師」のくだりは、笑ってしまう。「帝国」の、「すべてが終わった後から語り出す」やり口。
 ポレミックというか、挑発的で、納得いかない記述もあるといえ、こういう方には、がんがん書いていってもらいたい。