新野守広「演劇都市ベルリン」

新野守広さんの「演劇都市ベルリン」ISBN:4846202933
この本、2000円で、超お買得である。

しかも、ハイナー・ミュラーの「ハムレット/マシーン」の上演台本も掲載されている。ミュラーの「ハムレット/マシーン」とは、シェイクスピアハムレット」と、ミュラーの「ハムレットマシーン」とを組み合わせてドイツ座で1990年3月に上演されたもの(同書pp.91-103)。伝説の舞台。

 パラパラ見てると、この著書、写真は多いは、よくまとめらてるは、データも多いで、大変な好著である。このような本もだれかが書いてくれなくては、まったく、日本の一般レベルまで、ドイツ演劇の面白さが認知されない。ドイツ演劇を知らない方へいいたいのは、とりあえず、演劇で一番面白いのは、断然ドイツです、ということ。ゲーテ/シラーよりの伝統を継承しながら、映画の興隆に飲まれることなく、ブレヒトミュラーを産み出して来たドイツ。ドイツ演劇はいうなればアメリカのハリウッドのような存在(ぼくがいいたいのは、演劇界のハリウッドというほどの意味)。
 むろん、アメリカにもフォアマンやロバート・ウィルソンが、フランスには、太陽劇団や故コルテスや、あるいはイギリス出身のピーター・ブルックがいる(パリ国際演劇創造センター)。しかしまあ、なんといっても20世紀の親方、ベルト・ブレヒトのドイツ。ブレヒトについては、いうまでもなくベンヤミンロラン・バルトゴダールらによって敬愛されてきた偉大な作家である。イタリアのストレーレルもブレヒトの弟子。
 
 考えてみるまでもなく、ハイナー・ミュラーブレヒト、そして、パイマンの舞台を見ることなしに、イマージュオペラはありえなかった。なんとか舞踏と称し、なにかやってただろうけど、どうだろう、もうドイツ演劇は、ぼくの中枢に、住んでいる。そうしていまなお、ドイツ演劇は刺激的だ。
 
 この本と併せて、ハンス=ティース・レーマンさんの「ポストドラマ演劇」とは、必読文献である。
ポストドラマ演劇

レーマンさんのこの本も、おそらくあまり読まれていない。ぼくも「トラクトア/トロープス」を作るうえで、なんども読み返したものだったが、以後、読んでいなかった。
 また、ノートとるか。

 そういえば、「油田」に、オン・ケンセンさんがいらしてくれた。どなたかが紹介してくださったのだろうが、それもミュラーを通じたものだ。
 
 なんということ。初心、忘れるべからず、だ。

 あらためて、出直します。