「大アジア主義」


 結果として、「大東亜戦争」は失敗したわけだ。なぜなら、「列強」に敗戦したわけだから。
 理念的な動機としての、「大アジア主義」というヴィジョンについては、これまた別項目で書こうとも思うが、たしかに重要なヴィジョンである。それは、「ヨーロッパ」に回収されないオルタナティヴとしての潜在的可能性を秘めているからだ。だが、日本帝国は、そのアジア主義の主体を、日本であるとした。それが誤っている。主体は、「アジア」であり、まずもって、それは複数的な主体であるべきだ。そうでなければ、たんなる挫折した小帝国主義の領土拡大政策にすぎなくなってしまう。