ルソー、ロマン主義etc

また、前掲誌に戻ると、
・今泉文子「ルソーからドイツロマン派へ」→ルソーとヘルダー、シュラエルマッハー、ノヴァーリス
・ヘイドン・ホワイト「呪物としての高貴なる野蛮人(原題「The Noble Savage Theme as Fetish」」
 →人種的フェティシズムについて。
湟野ゆり子「ルソーとシャトーブリアン:自伝における「無意志的想起」をめぐって」
etc.


やっぱ、さすがは“トリックスター”のルソー周辺、こうしてひもとくと、面白い。
ルソーについてもいろいろ記憶がある。偶然、高校のとき手にした「孤独な散歩者の夢想」。そのなかでルソーがこけてあごがくだけたという記述が冒頭にたしかあって、痛いなあwと思って、あの痛い顎の話がのってる本という印象がまとわりついている。また、安永先生の安藤昌益とルソー、ルソーとコメニウスと梅根悟と教育と大学の理念、nさんの授業で書いたレポートも、社会契約論についてだった。あーなつかしい。ルソー全集が都丸にあって買おうかと思い、値段を聞いたこともあった。まさか自分があそこで働くことになるなんて、人生も不思議なもんだ。
 そういえば、私は学生時代、芸術なるものを基本的には全否定していたのだが、それはやっぱりルソーに因るところが大きかった。まだフーコーすら知らなかった頃。以降、他の本と出会ってしまったので、ずうっと、読む気がおきなかった。馬鹿っぽいイメージがずっとあったし、いまでもある。しかしまだ幼いころに出会ったというモニュメンタルな意味で、なかなか手放すわけにもいかなかったのだった。
 ルソーは言ってることと、行ったこととが分裂しているので有名である。「エミール」での美しく清潔な教育についての提案と、ルソーの行為におけるグロテスクな現実…。しかしそんなのは、「ロマン主義」的な「自己」のありようからすれば、当たり前のことでもある。またそのロマン主義的な自己をもっとも典型的に示すひとりが、ルソーでもある。「自然を観察するがいい」、か。