チンパンジー|嗚呼アメリカ|石川啄木

ニューヨークポストではオバマ大統領をチンパンジーになぞらえ、警官が射殺するという漫画を掲載した。


 台詞は「They'll have to someone else to write the next stimulus bill.」
「the next stimulus bill」は「次の刺激的なやつ」という意味で、「景気刺激政策」を指しているが、この漫画は、CMにも出演したことのあるチンパンジーが飼い主の家を訪れた女性を襲い、警官に射殺されたコネティカット州での事件をモチーフにしたという。

 むろん、人種差別運動団体の抗議があり、同会長ルパート・マードック氏(77)は謝罪し、担当者を調査委したところ、人種差別的な意図があったわけではなく、政府の政策への批判が目的だったという。
 
 …まあ、謝罪ですむことなのかもしれないが、それにしても、この漫画、ものすごい「無意識」=抑圧された欲望の現れだこと。
 オバマ大統領が就任する直前かに、アメリカの駅で、黒人の青年が背後から射殺されたこともあった。

 このような「人種差別」を「解決」するには、当面、白人(アメリカのWASP)を「白豚」として描く必要がある。この漫画だって、白人警官が白豚としてキャラクタライズされていたら、印象もここまで陰惨ではなかったかもしれない。
 今日はニュース見損ねたが、アメリカの国債を結局いくら買うことになったのか。その交換条件としての新幹線技術提供とかもどうなったのか。
 なぜここいらを報道しないかね、マスコミは。
 いや、マスコミというより、閣僚というべきか、だって、国民の知る権利を侵害してるだろ。
 「アメリカの新大統領が日本を優先して会ってくれた」みたいな笑顔なんてしても、アホ面だよ。
 ああ情けナや。
 いまにはじまってことではないといえ、まだ「戦後レジーム」で生きて行くしかないのか?
 いや、そんなことはない。
 

…いまの金融資本主義の衰退=改編は、日本が対米従属を廃棄するいい機会だと思われるのに、結局は、グアムへの在沖縄米軍移転で2500億。
 これだって血税なわけだから。そんな金の使い方するようだったら、って現代史をふまえれば、どんだけ日本はアメリカに「賠償金」を払えばいいのか。親米保守の言い分からすれば、そのアメリカのおかげで日本は経済成長を果たしたのである!ということになるかもしれんが、「アメリカのお陰」という面もたしかにあるが、働いたのは、日本国民だろが。
 そうして、そんな国民は

「はたらけど はたらけど猶わが生活楽にならざり ぢつと手を見る」

ないし

「こころよき疲れなるかな 息もつかず 仕事をしたる後のこの疲れ」

石川啄木を憶いつつつぶやきながら、

「死ね死ねと己を怒り もだしたる 心の底の暗きむなしき」

ないし

「何がなしに 頭のなかに崖ありて 日毎に土のくづるるごとし」

と観念しながら、自死する。

 必死で(殺人的に)労働し、得た収益がアメリカに流れ込む仕組みについては、野口悠紀夫『世界経済危機 日本の罪と罰』(ダイヤモンド社、2008)が明解してくれている。この本の内容についてもパラフレーズしたいところだが、ちょいめんどい。

それにしても、石川啄木、その叙情性がちょっと、と以前は思っていたが、やはりよい。