ただ→ウィキペディア→百科全書派
ただの力。レヴューにもあるが、ただについての本にお金を出す矛盾はあるとはいえ、読んでみたい。
- 作者: クリス・アンダーソン,小林弘人,高橋則明
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2009/11/21
- メディア: ハードカバー
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ほか『ウィキペディア革命』を借りて読んだ。
- 作者: ピエールアスリーヌ,フロランスオクリ,ベアトリスロマン=アマ,デルフィーヌスーラ,ピエールグルデン,Pierre Assouline,B´eatrice Roman‐Amat,Delphine Soulas,Florence O’Kelly,Pierre Gourdain,佐々木勉
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2008/07/25
- メディア: 単行本
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フランスと基本的な事情はほぼ同じとはいえ、政治的な争点は各国で当然ちがう。
ウィキペディアは数年前よりはものすごく質量がグレードアップしているが、ここ二年くらいは収穫逓減の法則のようで、落ち着いている。
とはいっても、10年後、20年後にはどうなっているだろうか。
とはいっても、ウィキペディアの進化よりも、前掲書にあるごとく、また学校関係者を悩ませているごとく、ウィキペディアが知識産業にもたらす影響の方が重大だろう。
とはいっても、紙資源がなくならない限り、本が消えることはありえないと私は思う。
ウィキペディア批判論もまっとうではあるが、情報獲得手段がウィキペディアであれ本であれ、うのみにするひとつまり無批判に受容するというのは、メディアの形式の問題というよりか、教育格差とか認識能力とか、そういうより普遍的な、プラトン以来の「教育学」の問題である。
詩人哲学者のミシェル・セールは2007年にラジオでウィキペディアについて、荒らし行為があろうとそれを集団的にコントロールしているのは奇跡で、正直さがバンダリズムに打ち勝つ現象としては現代では稀であると絶賛している*1。前掲書著者達は、こうしたセールの発言を「独善的熱狂」とけなしているが、そういう論難にあるのは結局、知識産業の利害からしか物いってないように思う。セールに軍配上がる。
それにしても、前掲書には「百科事典を各家庭は持っていたが…」とあるが、そしてむかしは日本でも百科事典は各家庭にあったのかもしれないが、いま同世代で持ってる人いるだろうか?持っているひとに会ったことがない。というか、いま現在のアップグレードされた百科事典は日本で、図書館用でなく、家庭用のヴァージョンは売ってあるあるのだろうか?ほとんどは言語関係の辞典および興味のある各専門科学の辞典を複数持っているのが通常なのではないか。
それにしても、イメージされる意味は違うとはいえ、「百科全書派」という語の響きにはいまだしびれる。
*1:前掲書92-5頁