夏の黄昏

夕暮れの近所の公園に行った。夕暮れというより、夜のはじまりであったが。
幸い、蚊もおらず、また、涼しく、散歩には最高の条件であった。
グラウンドでサッカー・シュートの稽古をやっている二人がいた。
音量が小さいのではじめはよく分からなかったが、小さな太鼓のようなパーカッションを練習している別の者がいる。ランニングする者。犬の散歩をする者。ベンチに高校生のカップルらしき者らがいる。また別のベンチに路上生活者らしき者もいる。これらはすべて、闇に包まれはじめていて、よく輪郭が分からない、影のように見えた。
 夏の夕暮れの光り。青い光。
朝の青い光も好きであるが、夏の朝の場合、心地いい大気がどんどん暑くなって、蝉の気が狂ったような大音量のノイズ・コーラスが続いて行くことになる。
夏の夕暮れについてはカーソン・マッカラーズが「The Member of the Wedding(邦訳題:夏の黄昏)」(福武文庫)で描写したものがすばらしい、というつもりが、いま当の本を手にしてみると、私が念頭に置いている風景描写の箇所が見つからない。

 北アメリカ南部にはまだ行ったことがないが、ブラックミュージックを崇拝する私にとって聖地のひとつである。