過去、パサージュ

ノスタルジア-老境とくれば、廃虚への欲望/想像力の話しにも連なりそうだ。廃虚論も最近よく本が出ている。軍艦島なり、あるいは佐世保近郊の崎戸の炭坑の町。あの赤茶けた、集合住宅。…
 廃虚といえば、ピラネージである。ピラネージ関連の本も放置していたままだった。
 廃虚/過去へのノスタルジア…いわゆる怪奇小説でいうところの「ゴシック」もまたその変奏だ。しかしいまだにあの小説美学上の「ゴシック」と、建築美学上の「ゴシック」との関係が分からない。ヴォリンガーはまた別だ。
 ノスタルジアといやプルースト。また、ベンヤミンのたとえば「パサージュ論」もある意味、廃虚系ではないか。前世紀の失われて行く都市について。
 
メモが出て来た。現代思想92,vol.20-13。
○パサージュ
p41 人生の図式=迷宮
   迷宮への入口=出会い/知り合いの原型Urbekanntschaft
   -その入口のひとつひとつが、私の出会ったひとりの人間との知り合いの図形的象徴。
 入口=パサージュ=「様々の年齢によって繰り返し私を友人や裏切り者、恋人、弟子、師匠、へと導いて行く通路」
 →事物の世界が深い象徴となって凝縮

 パサージュ=出会い=入口

物とひととの出会い。

○Sammeln収集

対象からもともとの機能をはぎとり、類似する他の対象との可能な限りの緊密な関係を結ぶ。

効用⇔完全
   
   完全→対象が世界のなかにたんに現存するという非合理的な性格を克服して、
      新たに作られた収集=歴史システムのなかに対象を組み込むこと

    →対象の組み込み  cf,ベイトソン

 エンチィクロペディー

 19世紀のキッチュを揺るがす「結集Versammlung」へと呼び掛ける目覚まし時計

 過去の物への限定的否定(有用性関連からの切断)
 
 物との接触=まなざしの物への破壊的効果+物からの衝撃的効果=相互衝突cf,モンタージュ

「物の空間ではなく、我々の空間のなかで物を表象すること、物をわれわれの空間のなかへ受け入れること、われわれが物のなかに身を置くのではない。物が我々の生のなかに入り込む」

 われわれの空間=actuality

○ルンペンザンムラーLunpensammeler


プルースト(1871-1922)のあの小説というか言語集積物は、それ自体、19世紀のパサージュ…
 記憶の街路、アーケード街。

 …19世紀といえばイギリスにディケンズがいる。フランスのパサージュに対応する19世紀イギリスの都市の詩学について…